11月17日(日)に「山川菊栄カフェ」(わが住む村 読書会第5回)を開催します。

 「ブックカフェで山川菊栄について語りあう企画をやっています。」とお話しすると、「ぜひ行きたい、いつですか」と声をかけていただく機会が増えました。さまざまな本やメディアでとりあげられている山川菊栄。静かにファンがひろがっているようですが、地元でなかなか集う機会がないようです。また、この藤沢にお住まいの方々でも、戦前の藤沢が書かれている「わが住む村」をはじめて知ったとおっしゃる方もいて、読書会に興味をもっていただいていることを感じます。いつものように、石黒さんから前回のレポートが届きました。

さる9月15日(日)14時から、藤沢・柄沢橋にあるブックカフェBOOKYで、第4回の「わが住む村」読書会を開催しました。初めての方が3人も参加してくださり、あわせて10人での賑やかな読書会になりました。


 本書冒頭の「雲助の東海道」の続きから「助郷の禍」までを読みました。前半は、石黒のつたない朗読でしたが、後半は、今回から参加してくださった一龍斎春水(はるみ)さんが朗読してくださいました。麻上洋子さんの名で声優としてもご活躍の春水さん。宇宙戦艦ヤマトの森雪の声で、山川菊栄の文章が読まれるのを聞くこのうえない機会となりました。春水さんは次回も朗読してくださるとのことですので、そちらも楽しみです。

 本文は、人々が行き交っていた東海道の街道筋が、鉄道開通を迎えて変化していくさまを描いているところです。
 明治19年の東海道線開通と藤沢駅開設時、「汽車には大反対」「停車場を宿場近くに(設置されるのは困ると)さんざんお願い申して(…)家一軒ない桃畑のまんなかに(駅を開設することになった)」という車力のお爺さんの話が引用されています。
 このように、鉄道が建設された時に反対の訴えがあったため、線路や駅が既存の中心部から遠ざけられた、という話は全国各地にあるようです。山川菊栄も「駅が町に遠い野原の中にポツンとあったりするのはその時代の記念なのです」などと記しています。しかし、近年の鉄道史研究では、この点の再検証が進められており、総称して「鉄道忌避伝説」などとも呼ばれているところです。さて、藤沢ではどうだったのか。読書会の場で、石黒から、調べられる限りで見つけた資料などをご提示しました。
 特に、藤沢市史(第三巻資料編 昭和50年刊)の記述の元とされている「藤沢駅史」が、昭和17年に当時の駅長が「土地の古老」に記憶をたどってもらって書いた、などとされていることが分かり、この「わが住む村」を書くために山川菊栄が聞いて回った時期(初版刊行が昭和18年12月)と一致もしくは先行するという発見があったことをお話ししました。

 歴史的な事実の追求は専門化の研究に委ねたいところですが、現代の目で読み直す重要さをあたらめて感じたところです。

 

 次回、第5回は、11月17日(日)14時から。おなじくBOOKYでおこないます。参加費は無料ですが、カフェでのオーダーをお願いします。ブックカフェ営業中ですので、ふらりとお立ち寄りになるのでかまいません。初めての方、大歓迎です。ただし椅子のご用意の都合もありますので、できればご連絡いただけると助かります。

 岩波文庫版の『わが住む村』が入手できないかもしれませんが、国立国会図書館のデジタルコレクション(登録者のみの個人送信)https://dl.ndl.go.jp/pid/9539136でも見ることができます。

藤沢で「山川菊栄カフェ」(読書会)第3回が開催されました。


藤沢のブックカフェBOOKYさんで毎月開催している「山川菊栄カフェ」。7月に「わが住む村」の読書会が開催されました。石黒さんより報告が届きましたので掲載します。


 月に1回でいいから山川菊栄について語り合う会を開催したい、そう思って読書会を始めました。7月は27日土曜日、前回から引き続いて参加していただいた方5人。加えて、前回開催のこのページを見て来て下さった方が1人。「読書会を開催しているなら行ってみたい」と仰って、東京から来てくださいました。
 冒頭は、最近の山川菊栄に関する話題共有。最近は海外の研究者から、山川菊栄に関する資料を求める依頼が届いていると、山川菊栄記念会の山口さんから報告がありました。時代や国境を越えて、山川菊栄があらためて注目されていることを知りました。
 読書会は「わが住む村」の冒頭から。つたないながらも石黒が朗読させていただき、都度聞きたいことや話したいことを語り合う、とても濃密な時間になりました。
 特に、ひとりで読んでいたら疑問に思わずに素通りしてしまうところを、他の方が指摘してくださって、初めて気づくことがあったり。また、声に出して読むことで、文章のリズムのよさが分かったり。途中、お話しが寄り道に入ってしまったりして「雲助の東海道」の節の途中までで時間となりました。

 次回、第4回は、9月15日日曜日14時から。「雲助の東海道」の続きから「助郷(すけごう)の禍」「黒船来る」あたりまでを精読します。できれば事前にお読みの上、お集まりください。岩波文庫版が入手できないかもしれませんが、国立国会図書館のデジタルコレクション(登録者のみの個人送信)https://dl.ndl.go.jp/pid/9539136でも見ることができます。

 また「わが住む村」に限らず山川菊栄の話もたくさんしたいと思います
 参加費は無料ですが、飲み物もお菓子もおいしいBOOKYさんでのオーダーをお願いします。

藤沢の「わが住む村」読書会<第2回>が開催されました。


藤沢のブックカフェBOOKYさんで小さくはじまった「わが住む村」読書会。その2回目が開催されたとのこと。読書会発起人の石黒さんより報告が届きました。

山川菊栄が終生暮らしたこの藤沢村岡の地で、山川菊栄について語り合う会が開かれていたらどんなによいことか。そんな思いで提案させていただいた読書会。前回・5月の会も、お集まりいただいたみなさんの“菊栄愛”にあふれ、お話しがいつまでも止まない楽しい会となりました。今回は「わが住む村」の私の「推し」の章をもちよって語り合う会とし、6月23日日曜日に同じくBOOKYさんで開催しました。
 前回参加の3人と今回初参加の3人、あわせて6人(加えて書面参加1人)の「推し」の「わが住む村」がそれぞれ発表され、みなさんがそれぞれ違う感想をお持ちになり、共感するところ、気づかされるところ、さまざまでした。
 感想としてあげられた事柄を並べてみますと。海の描写、潮騒の音。凧あげの音(秦野の大凧)。ザリガニと蛭。明治天皇の東幸が通った東海道。家業として自分たちの着る物のための綿作りと機織り。正月の準備。柏尾川の改修工事と小塚にあったという手彫りのトンネルの話。高砂の桃。「夜なべ」の語源。地下足袋の由来。。などなど。。
 戦中まではまだ東京郊外の農村だったこの藤沢の村岡。地域の古い慣習や、特に女性の労働力に頼り切った行事などには、山川菊栄ならきっと社会評論として苦言の一つも書きたかったに違いない。そこをこらえて、地域の方々からの聞き書きに徹し、淡々と記録にとどめた文章だからこそ、この本はいままでも読み継がれているのでしょう。書かれている行事や地名など、この地域の方々に聞いてみないと分からないことがまだまだありそう。この本は一読しただけではもったいない。


 ということで、今後も毎月1回の開催を約束し、当面はこの『わが住む村』を精読していくことにしました。
 次回は、7月27日土曜日14時から。『わが住む村』の冒頭3節、「雲助の東海道」「助郷(すけごう)の禍」「黒船来る」を精読します。事前にお読みの上、気になることは各自調べたりまとめたりご自由に(しなくてもOK)してお集まりください。参加費は無料ですが、お菓子もおいしいBOOKYでのオーダーをお願いします。

読書会に関するお問い合わせは山川菊栄記念会にお願いします。

BOOKYさんへの藤沢駅からの行き方:藤沢駅から徒歩20分くらい。

大船駅から:船32・33番 大船駅西口発〜藤沢駅北口行 柄沢橋下車すぐ(所要時間約10分)

藤沢駅から:神奈中バス 藤32・33番 藤沢駅北口発〜大船駅西口行 柄沢橋下車すぐ(所要時間約8分)