11月3日山川菊栄の133回目の誕生日に学習会「山川菊栄のフェミニズムー生きること、表現すること、闘うこと」が開催されます。

札幌で学習グループ・What’sを主催していらっしゃる水上さえさんから、次のような山川菊栄の誕生日の学習会企画のお知らせをいただきました。講師の鈴木裕子さんが昨年出版された『忘れられた思想家 山川菊栄』(梨の木舎、2022年4月刊)の特別価格販売もあるとのことです。参加予約をぜひお急ぎください。

『山川菊栄のフェミニズムー生きること、表現すること、闘うこと』

日時 11月3日(金・祝)17:30~20:00

場所 東京・水道橋 あめにてぃかふぇ梨の木舎(対面のみ)

講師:鈴木裕子先生(「忘れられた思想家 山川菊栄」著者 ※当日は特別価格にて販売いたします。)

参加費:予約1500円 当日1800円 

※資料印刷の関係でなるべくご予約いただけるとありがたいです。

詳細・お申込み→ https://onl.sc/eVkzXkn 11月2日まで受け付けています。

共催:what’s ,梨の木舎

名古屋大学ジェンダーリサーチライブラリ・GRLブックセミナーに参加しました。

10月22日のきれいな秋晴れの午後、セミナーに参加しました。地下鉄名古屋大学駅からすぐのところに、一軒家風のカフェを併設した愛らしいライブラリがありました。大学構内の奥まったところにあるかと思いきや、幹線道路沿い、付近には飲食店も多く、コミュニティに開かれた位置にある大学付設の日本有数のジェンダーライブラリだとわかりました。

名古屋は2年前に急逝した井上輝子記念会代表の縁の地でもあります。東海ジェンダー研究所の理事を務めながらその研究所の活動をとても大切にしていました。井上さんを偲びつつ、GRLの水田珠枝文庫の貴重書の棚を拝見しました。

ブックセミナーは、第1部で、豊田真穂さん「生理休暇を考える」、高柳聡子さん「コロンタイの翻訳者としての山川菊栄」、趙書心さん「クィアを翻訳する菊栄」の3名の報告があり、花束書房の本を補足し、発展させた内容で、山川の今日的意義を語られました。
第2部は、「ライブラリで出会う女性の蔵書コレクション―「山川菊栄文庫」「水田珠枝文庫」の継承と活用」とのテーマでの対談で、神奈川県立図書館の島香織さんが神奈川婦人総合センター時代からの山川菊栄文庫が、県立図書館の再整備計画の中で、どのような位置づけになっているか、また文庫資料について、山川菊栄記念会の協力を得て、利用に向けた整備を進める予定と話されました。記念会の山口からは、山川菊栄文庫資料の全体像を示し、そのなかからコロンタイやサンガーの宣伝チラシ、パンフレットなどを紹介。またレスター・ウォードの『ピュアソシオロジー』の第2版が寺田鼎、堺利彦を経て山川菊栄へと渡っていること、1923年にベーベルの『婦人論』が山川菊栄訳としてアルスから出た初版が、関東大震災を経て再刊された経緯などを紹介しました。青木玲子さんは、NWEC、東京都をはじめ各地の男女共同参画センターなどでの経験について、また名古屋大学GRLには構想の当初から、東海ジェンダー研究所として関わってこられたことから、女性関連資料をアーカイブとして残すこと、またそれを活用することを、イギリスなどの事例を交えて話されました。

改めて、このセミナーを企画いただいた花束書房の伊藤春奈さんとGRLの林葉子教授に深謝申し上げます。
全体概要は、後日、名古屋大学のGRLからの報告にも出る予定です。発行後こちらのニュースでもお知らせします。

花束書房さんの『未来から来たフェミニスト-北村兼子と山川菊栄』の出版を起点として、山川菊栄を次につなげていこうという若い世代の方々が沢山おられることに大きな力をいただきました。記念会では、山川文庫資料の整理、公開に向けて、よりよい方向性を求めつつ、今後とも県立図書館に協力してまいります。

神奈川県立図書館の講演会「関東大震災と女性たち」(講師・栗田隆子さん)のお知らせ

来たる11月19日(日)14時から16時まで、神奈川県立図書館で講演会が開かれます。講師は山川菊栄のドキュメンタリ映画にも出演いただいた栗田隆子(くりたりゅうこ)さんです。栗田さんは先に出版された『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』にも書評エッセイ「Unforgettable-忘却を阻むために 」を書かれています。

今回の講演は山川菊栄の家族あて書簡も展示されている、神奈川県立図書館での関東大震災100年展示に関連して行われるものです。

ちらしのPDFはこちらからダウンロードできます。

会場参加のみで人数に限りがあります。10月11日から11月1日まで、e-kanagawa電子申請システムのフォームから申し込みを受け付けるとのことです。

詳しくは図書館のイベントサイトもご覧ください。

名古屋大学ジェンダーリサーチライブラリ・ブックセミナー「未来からきたフェミニスト 山川菊栄と再会する」が開催されます。

先日の『毎日新聞』(9月9日付)書評欄に花束書房から出た『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』の広告がみられましたが、このほど、出版記念として山川菊栄に焦点をあてたイベントが、10月22日(日)、名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリで開催されます。

対面とオンラインのハイブリッド方式での開催です。参加無料ですが事前申し込みが必要です。

参加登録フォームは、https://ssl.form-mailer.jp/fms/dc899353796604 へ。先着順での締め切りとなります。お早めにお申し込みください。す。

関東大震災で被災した山川菊栄の手紙が神奈川県立図書館で展示されています。

ちょうど1世紀前の関東大震災の日、9月1日が近づいてきました。

ちょうど1世紀前の関東大震災の日、9月1日が近づいてきました。

 以前お知らせした神奈川県立図書館の展示「関東大震災100年 神奈川県の被害と復興」には、東京で被災した山川菊栄が母と姉・松栄にあてた手紙が書き起こしとともに展示されています。拡大コピーと書き起こしが読みやすく展示されており、あわせてそのときの避難経路も地図に示されています。菊栄と学齢期を迎えようとする一子・振作は、東京三田の慶應義塾大学そば、札ノ辻で被災し、バスや馬力という乗り物を乗り継いで、夕方、大森の自宅まで帰り着きます。書簡は9月3日付ですが、2日の午後から朝鮮人襲来のデマがあったこと、半鐘が鳴り響き、異様な空気であったことなどを書き伝えました。後年の名作「おんな二代の記」にもこの大震災の体験は「天災と人災」の章でさらに克明に記されており、貴重な歴史的証言となっています。9月2日午後に馬に乗った兵士が慌ただしく触れ回るデマを聞いても、合理的な思考とともに冷静さを保ちながら過ごしていく山川夫妻のようすがうかがえます。

 菊栄は、翌1924年「大試練を経た婦人の使命」(『山川菊栄集』第3巻251頁、初出は『大正一三年婦人宝鑑:家庭百科全書』大阪毎日新聞社編纂発行、国立国会図書館デジタルコレクション)のなかで、「黒船に怯えた幕府時代の日本と、世界の大国の班に列する今の日本との間に、果たして何ほどの思想的進歩があったかを怪しまずにはいられなかった。いかに不用意の際に巧妙な流言が行われたにせよ、日本人が一般的にいま少しく人命の貴重さを知り、人道の何足るかを心得ていたならば、あれほどの残虐は行われなかったであろう。褊狭なる愛国主義。封建的な尚武思想、排他的な島国根性! これらに禍された日本人の教養は、今日一等国をもって誇る国民に中に、敵の髑髏をもって装飾品とする蒙昧人を多く産出するようなこととなったのである」と、朝鮮人虐殺に加担した人々を批判しています。また国民全体の道徳的欠陥や教養の低さについて猛省を促しています。そして、震災直後に菊栄も加わって結成された東京の婦人団体連合会が、甘粕大尉の虐殺事件に対して人道の名において抗議を発表したことを「まことに意義あること」とし、患者の看護にあたった看護師たちの勇気をたたえ、「人の生命を奪う代わりに生命を与えることを本分とする婦人が、今後、今回のごとき残虐行為を防止すべく、平和と人道との名における大々的な運動を起こさねばならぬことは当然であろう」と書きました。

 虐殺された朝鮮人の人々の数はまだ正確にわかっていませんが、山田昭次氏が在日本館等大震災罹災朝鮮同砲慰問班による調査報告をもとに再計算した数値では、神奈川が最も多く3999人、東京1781人、埼玉488人、千葉329人、群馬34人、栃木8人、茨城5人となっています(2023年高麗博物館企画展図録「関東大震災100年 隠蔽された朝鮮人虐殺」9頁・展示は12月24日まで)。このほかにも中国人や障がい者、労働運動者、社会主義者が犠牲となりました。大杉栄、伊藤野枝、橘宗一3人の暴行致死も、金子文子と朴烈の不当逮捕と獄死も、関東大震災の混乱に乗じた軍や警察当局の非人道的な蛮行が原因です。

 9月2日の午後にデマを伝えながら鳴らされていたという半鐘は、サイレンや有線放送、メールなどに置き換わっていき過去の遺物だと思われがちですが、まだ消防団の建物に付随して残っている地域もあります。100年前のような目的で鳴らされることが二度とあってはなりません。

神奈川県立図書館の展示は今年末までですが、11月に展示替えが予定されています。詳細は図書館まで(電話代表・045-263-5900)。

関東大震災100年

神奈川県立図書館では、企画展示「関東大震災100年 神奈川県の被害と復興」が開催中です(12月13日まで)。
山川菊栄が被災後、母千世にあてた手紙も山川菊栄文庫関連資料から初披露。去る6月2日には朗読会「明日へ」も開催され、その手紙が読まれたということです。

陸軍の甘粕正彦大尉らによる大杉栄、伊藤野枝、大杉の甥・橘宗一の虐殺のあと、山川一家も狙われている可能性があるとの助言で、振作を連れて兵庫県垂水に逃れていきました。
逮捕ではなく直接有無を言わせずに命を狙う国家的テロ、現代でも世界のどこかで起きている、山川一家も直面したそのことの暴力性を改めて問わねばなりません。

神奈川県立図書館新館の展示期間が延長されました

以前お知らせした「性と社会の今。人として自分らしく生き抜く」展での男女共同参画図書や山川菊栄文庫の資料展示は、期間延長となり、6月4日(日)までご覧いただけます。

山川菊栄文庫の資料では、労働省婦人少年局資料の「だからわたくしたちは婦人団体を作りました」(1950年秋~1951年頭か?)というパンフレットが展示されています。カラー用紙を使った日本語版と、生成り色単色の英語版という大変珍しいものです。縦型のB6判変形で、昔のコクヨの電話帳のように紙の大きさを変えインデックスごとに頁がめくれるようになっている凝った作りになっています。英語版はGHQとの関係で作成されたものと思われます。

山川菊栄文庫関連資料の整理も最終盤を迎えており、いま展示されている資料も含めて
まもなく収蔵庫改修のため令和8年以降まで非公開となります。

この機会にぜひご覧ください。

シニア女性映画祭10年の記念誌



2023年3月11日と12日に、豊中市で開催された第11回シニア女性映画祭では、山上千恵子監督の山川菊栄ドキュメンタリーが上映されました。また、2012年から2021年までのシニア映画祭10年の開催記録を詳細にまとめた記念誌もシスターウエイブスから発行になりました。
映画祭に込められた関係者のみなさまの熱情あふれる1冊です。入手先は、sister-waves @ qc.fem.jp

シニア映画祭の会場で山川菊栄の写真集や『いま、山川菊栄が新しい!』もたくさん購入いただきました。いずれもこのサイトを通じてご購入いただけます。お気軽にご連絡ください。y.kikue @ shonanfujisawa.com  (メールアドレスはいずれもアットマーク前後をつめて送信してください)

MIMOZA WAYS ミモザウェイズ1910‐2020の舞台公演に山川菊栄のポートレート登場

女優で劇作家、演出家であるトリニダード・ガルシアさんによる、3世代の日本女性の生き方をジェンダー平等の視点から描くコミカルな演劇「ミモザウェイズ」が東京福生市民会館で2月22日23日の熱気あふれる公演を終えました。2月27日、28日に、福岡・クローバープラザ・クローバーホールで上演されます。

昨年の京都公演やオンライン配信版が改訂され、雑誌『青鞜』の執筆者の一人として、山川菊栄のポートレートが大きく投影され、紹介されています。山上千恵子監督のドキュメンタリー映画「山川菊栄の思想と活動-姉妹よ、まずかく疑うことを習え」を見たことがきっかけとなったとのことです。

映画上映も10年の歴史をもつ「とよなかシニア女性映画祭」で3月12日(日)に予定されています。トークでは山上千恵子監督が登壇されます。