第21回読書会レポート:特別授業「山川菊栄とわが住む村」の模擬体験

去る7月1月から3日までの3日間、3年生6クラスにわたって、山川菊栄記念会事務局長の山田(樋浦)敬子が中学校の教壇にたつという、大変得難い機会をいただきました。特別授業として社会科の歴史と郷土を学ぶ時間です。山川菊栄の人となり、残したことばともに、『わが住む村』のトピックからペリー来航、小塚隧道工事、大凧上げを選び、そしてもちろん経営していた「湘南うずら園」についてお話ししました。

7月の読書会では、その授業の模擬体験を読書会メンバーで行いディスカッションする時間をもちました。元高校教師の豊富な経験をふまえながら、地元愛あふれる45分授業に、一同感銘を受けました。また、事前に、この授業の企画者である社会科担当の先生が、時代背景や関連事項をお話ししてくださったこともあって、生徒たちにより深い理解を促したように思います。郷土を通じた人間理解の授業として、今後も続けていっていただければありがたいことですし、山川菊栄記念会の普及活動にも大いにヒントをいただくことができました。

そもそも今回の出張授業企画には、企画された先生が水戸藩弘道館名簿に名を残す血縁者をおもちで、山川菊栄との年賀状の交流もあったとのことが発端となっています。

山川家と『湘南うずら園』があった場所は、現在は記念碑のようなものはなく、
隣接する中学校でも伝えられることがなくなっていたようです。
2年前から、柄沢橋にあるシェア型本屋BOOKYさんにおいて、毎月「わが住む村」の
読書会を開催していること、山川菊栄の本棚を置かせてただいていることも、
今回の特別授業につながりました。

生徒さんたちの心のなかにうまれた記念碑が、混迷の世の中を生きていく、それぞれの人生を応援していくことになれば幸いです。

竹中恵美子さんの追悼文集が発行されました。

昨年7月1日に逝去され、山川菊栄記念会世話人であった竹中恵美子さんの追悼文集が、このほど、フォーラム労働・社会政策・ジェンダー運営委員会の編集で刊行されました。

「竹中恵美子先生を偲んで~尽きない感謝の想いを込めて」と題して、亡くなる前年に自ら描かれた鮮やかな花の絵が表紙に掲げられています。目次には、学恩を抱く人々をはじめ、女性労働や地域での女性課題に共にとりくんだお仲間の名が、献花のように連なっています。

また、晩年同居して介護にあたってこられた息子さんご夫妻へのインタビュー記録は、竹中さんのお人柄と日常を浮かびあがらせています。親子に通じていた深い愛情の軌跡に大変感銘を受けました。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

第20回菊栄カフェ「読書会‐『わが住む村』を読む」を終えて、次回は7月20日の予定です。

2024年5月から始められた読書会ですが、とうとう『わが住む村』を完読しました。最後まで、一龍斎春水さんの素敵な朗読やおしゃべりを通じて、村岡や鎌倉の歴史、戦時中の社会状況など話題を広げ知識を共有しながら、ゆっくりまったり進んで第20回。

この日には、晩年まだ元気だったころの山川菊栄自身に村岡の家で会ったことがあるという初参加の地元の女性の方が現れ、一同驚愕と感動とともに20回を心からお祝いすることができました。

まだ岩波文庫版の解説や関連文献で『わが住む村』(岩波文庫)を年内は続けていきます。

次回は、7月20日月曜日祝日 14時から BOOKYさんでいつものように開催となります。
プログラムの都合上、貸し切りに近い形になるので、各自の注文は多めにご協力いただきたく思います。初めての参加の方は記念会までご一報くださいますようお願いいたします。山川菊栄記念会 y.kikueアットマークshonanfujisawa.com


鈴木裕子さんの新刊『フェミニズムと戦争協力』が発売されました。

東京ドーム・後楽園遊園地のある一帯は、江戸時代は水戸藩上屋敷があり、明治維新後は東京砲兵工廠という陸軍の一大軍事工場でした。戦後は水戸藩の庭園跡が後楽園となり、それ以外は遊園地・野球場と大きく姿を変え、平和な時代の恩恵をだれもが謳歌できる娯楽の場所となりました。

その最寄り駅、JR水道橋駅近くの梨の木舎は、1983年から「教科書にのらなかった歴史シリーズ」を発行し、東アジアを侵略していった日本の戦争行為とその責任について問いかけを続けてきた出版社です。第1冊目は、アジアの女たちの会が編んだ『教科書にのらなかった戦争』(1983年刊)でした。同じシリーズのPART76として、鈴木裕子さん(山川菊栄記念会世話人)が著わした『フェミニズムと戦争協力——見えなかった過去から学び、未来をつくるために』が、6月18日から刊行となりましたのでお知らせします。(296頁、定価 2,700円+税)

戦中戦後も平和主義を貫きながら評論活動をつづけたのが山川菊栄でしたが、一方で、戦時翼賛体制に次々と組していった女性団体と多くの女性リーダーたちがいました。その足跡を追った内容となっています。

女性たちが体制にやすやすと追随していった戦前から100年近くを経て、ようやく誕生した憲政史上初の女性首相は、露骨な追米姿勢とともに、改憲と戦争準備を公然と進めてしまっています。もはや平和憲法下に保障されていた基本的人権さえも危うい瀬戸際にきている状況下で、それを阻止する手がかりを、本書が世に問う意義は少なくないといえるでしょう。

同署には、藤目ゆきさんのよる解説:「未来を拓く女性史のために」や、河原千春さんによる鈴木さんへのインタビュー「問題意識はどのようにして生まれたのか」も掲載されていて、著作の背景理解を深めるよう工夫されています。

目次等の詳しい内容については梨の木舎サイトページをご覧ください。

水田珠枝さんのご冥福を祈ります

名古屋経済大学名誉教授の水田珠枝さんが4月18日、94歳で逝去されました。政治思想史、女性解放思想史の研究者で、1981年、山川菊栄記念会設立当時からのメンバーであり、「山川菊栄記念婦人問題研究奨励金」(通称・山川菊栄賞)の選考委員をされていました。また、2010年、生誕120年記念事業として行った連続学習会や記念シンポジウム「いま女性が働くこととフェミニズム」の講演者であり、2011年公開のドキュメンタリー映画「姉妹よ、まずかく疑うことを習え 山川菊栄の思想と行動」では、東海ジェンダー研究所で撮影された山川菊栄の理論を語る水田さんの映像が残っています。

ルネサンスから現代までのたゆまぬ思想の流れを知ることのできる『女性解放思想の歩み』(岩波新書、1973年初版)は2023年に20刷となっており、いまなお、フェミニズムを学びたいと思う人のための基本中の基本書として輝きを放っています。

貴重な蔵書は名古屋大学のジェンダーリサーチライブラリに寄贈され、水田珠枝文庫となっています。

ご冥福を心からお祈り申し上げます。

*シンポジウム「いま女性が働くこととフェミニズム」記録やドキュメンタリー映画についてはこちらのページをご覧ください。

Bookyさんの一箱古本市に今年も参加します。

今年も5月9日の「一箱古本市」に合わせて、読書会「きくえカフェ」の会場である藤沢のBookyさんに本を並べます。山川菊栄記念会では、過去に行っていたシンポジウムの記録集など、さまざまな出版物を出してきました。こちらのページでも取り扱っていますが、現地で手に取ってぜひお確かめのうえ、お買いもとめいただきたいと思っています。

5月の読書会は、17日(日)14:00からBookyさんで開催します。『わが住む村』(岩波文庫)の「耕地は蘇る」からとなります。参加は無料ですが、Bookyさんにお好きな飲み物や食事のご注文を各自でお願いしています。
初めてのかたは記念会までメールでご連絡いただければ幸いです。お気軽にご参加ください。お待ちしています。
y.kikueアットマークshonanfujisawa.com

ミモザフェスティバルが東京両国で開催されます。

日本の女性の生き方を三代にわたって描く日仏合作演劇「ミモザウェイ」(日仏女性の人権架け橋ミモザ実行委員会主催)が進化して東京・両国のシアターXで「ミモザフェスティバルー私たちの道、【声を挙げる 表現する 連帯する】」として、3月6日から8日まで開催されます。朗読や音楽劇など多彩なプログラムとなっています。ほとんど販売完了ですが、まだ、6日の19時と7日の14時の公演のみチケットがあるようです。お申し込みをお急ぎください。https://peatix.com/event/4680151

ミモザフェスティバル

今年の3月8日・国際女性デーに向けて

先日、御案内したように、3月8日、ドキュメンタリー映画『姉妹よ、まずかく疑うことを習え』の上映会(主催「さざなみ企画」)が葉山町福祉文化会館(葉山町堀内)で開催されます。、これについて、『タウンニュース』(逗子・葉山版・2月13日付)で採り上げていただきました。
https://www.townnews.co.jp/0503/2026/02/13/824677.html

また、3月8日は、恒例の東京ウィメンズマーチの企画が今年もあるとのことです。山川菊栄記念会では、毎年のように賛同団体となって、エールを送っています。

タウンニュース・藤沢版で山川菊栄を取り上げていただきました。

関東地方でも積雪が予報される8日の総選挙投票日を前に、2月6日付、『タウンニュース』藤沢版で山川菊栄をご紹介いただきました。山川菊栄記念会の事務局長山田敬子が取材を受けたもので、戦後まもなく、初の女性の参政権行使をめぐる山川菊栄の思いがよく表現されている言葉とともに記事にしていただきました。

女性参政権80年の年、山川菊栄に出会えるドキュメンタリー映画や演劇の御案内

昨年10月にオープンした神奈川県藤沢市の村岡市民センター1階に、関係者のご努力で記念パネル「山川菊栄と村岡」が掲示されたことはこのニュースでお伝えしました。現在、藤沢で行われている読書会「菊栄カフェ」のきっかけは、その場所・BOOKYさんでのドキュメンタリー映画「姉妹よ、まずかく疑うことを習え」の上映でした。地元の方が大勢集まってくださいました。

山川菊栄は村岡の前に、稲村ケ崎にも住んでいたことがあり、海岸に打ち寄せる美しいさざなみから浮かび上がるように、震災前の思い出を綴った「元旦の朝」(『山川菊栄集』第10巻所収)は秀逸なエッセイの一つです。このたび、相模湾を臨む葉山から、国際女性デー3月8日午前に葉山町福祉文化会館で行われる、映画上映の企画のお知らせが届きました。講師は山川菊栄記念会の事務局長山田敬子(たかこ)が務め、関連図書も販売されます。1月24日から、こちらでお申込みくださいますようお願いいたします。

ドキュメンタリー映画DVD上映企画のご相談も随時受け付けています。山川菊栄記念会までお願いいたします。

また、明治末から現代まで三代にわたる日本の女性の生き方をテーマにした日仏合作のコメディ演劇作品『MIMOZA WAYS(ミモザウェイズ)1910–2020』(日仏女性の人権架け橋 ミモザ実行委員会)の東京初演と山川菊栄の登場をこのニュースでお伝えしたのは、三年前のことでした。その後、日本各地、スイスのジュネーブでの国連女性の地位委員会、大阪万博と上演実績を積み、京都での開催が、1月29日(木)から2月1日(日)まで六公演が予定されています。チケットの購入など詳しくはこちらへアクセスしてください。

 今年は、1946年に日本女性がはじめて普通選挙権を得て行使した、女性参政権80周年の記念の年です。その幕開けに、こうして山川菊栄関連企画の御案内をいただきました。誤解される場合がありますが、市川房枝や平塚らいてうらの戦前の女性参政権運動に山川菊栄は加わることはありませんでした。社会主義の立場から、資本家やエリートだけで構成される議会の枠組みのまま、女性が単に同様の立場で加わることに批判的でした。それだけでなく、国家の根底にある家父長制と権威主義、言論の自由が保障されていないなかでは、真の男女平等は実現できないという構造的な欠点を見抜きながら、「婦人の特殊要求」に男女ともに行使できる公民権を掲げていました(エリッサ・フェイソンの研究より、下記「山川菊栄の名言エッセンス」PDFリンク先参照)。
わたしたち女性が、男性と一緒に日本の歴史上初めて一票投じることになった、それが戦後第1回の総選挙であり、日本国憲法制定前のことでした。これを目前にして山川菊栄が書いた「解放の黎明に立ちてー歴史的総選挙と婦人参政権」『婦人公論』(1946年4月再生号)の一節にはつぎのような言葉が記されています。

私は総選挙の結果にて婦人の意思が正直に現われることを第一に必要と認め、それを希望する。私は婦人に関する真実を掴みたい、事実を知りたい。買収されまたは強制された投票は真実を語らない。無知は無知でよい、恥ずるに及ばぬ。それは女の罪でなく、過去の日本の罪なのだから。女よ、包みかくすことなく、恐れはばかることなく、大胆に率直に自己の意思を示せ。 解放の第一歩はそれである。

 
 80年たっても全く克服できていない政治と金の問題への批判を含むこの言葉は、今、寒波襲来のなか、憲政史上初の女性首相によって明確な大儀なく総選挙が強行されていることに前にして、深く胸に刺さるものがあります。

*参考

「元旦の朝」『山川菊栄集』第10巻「武家の女性他」所収、岩波書店、1981年、国立国会図書館デジタルコレクション内、田中寿美子, 山川振作 編集『山川菊栄集』10 (武家の女性他),岩波書店,1981.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12141436 (参照 2026-01-21)、
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山口順子、山田敬子編「山川菊栄の名言エッセンス」 『山川菊栄記念会・資料部情報』no.4,2024年6月PDF  現代に通じる、ジェンダー不平等への山川菊栄の批判的名言を解説しています。オープンアクセスでどなたでも自由にご覧いただけます。