売春防止法改正問題に関連して林葉子さんの発言記事が『FRIDAY』に掲載されました。

明治以降の公娼制度とそれに対する反対運動から説き起こし、売春防止法成立過程の問題点をまとめた生駒明氏の「売春防止法史」が『FRIDAY』(2026年10月02日、10月8日)に掲載されています。そのなかで、林葉子さん(学習院大学文学部教授)がインタビューに答えています。https://friday.kodansha.co.jp/series/482487

また、山川菊栄の公娼制度批判について、林さんがすでに発表された論考「山川菊栄における『恋愛の自由』と『自主的母性』-公娼制度、結婚制度、母性の強制に抗する性管理政策批判の展開」,『 政治思想研究』(2025年, 25 巻, p. 60-85, 公開日 2026/05/01, Online ISSN 2186-5086)は, つぎのリンクからダウンロードできます。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpt/25/0/25_60/_article/-char/ja。

山崎雅弘さんの『戦争を甘く見る空気 1930年代と似た道を進む現代日本』 (朝日出版)が出版されました。

日中戦争後から戦時体制へと突き進んだ1937年と、現代の日本を比較しその類似性を考察をした山﨑雅弘さんの新刊『戦争を甘く見る空気 1930年代と似た道を進む現代日本』が出版されました(朝日新書)。

第1章のなかで、主婦の立場、生活者からの視線で、日中戦争勃発後の日本社会を記録した山川菊栄の文章を紹介されています。それは、雑誌『改造』(1937年12月号)に発表された「消費統制と婦人」(『山川菊栄集』第6巻所収)です。 日中戦争開始前より高騰してきた物価が日々の暮らしや台所に及ぼしていく影響について具体的に述べながら、政府批判をしているものです。

戦前回帰と1930年代同様の空気感のまん延は多くの人が指摘してきているところですが、現政権がそれに拍車をかけ留まるところがない状況を呈してきています。まっこうから政府批判をしない、連日続く若い世代を中心とした市民デモも報じようとしないメディアも大きな問題です。

そのようななか、『毎日新聞』(2026年8月26日朝刊8面)のオピニオン・論点のページでは、「女性とナショナリズム」というテーマで、二人の女性がインタビューを受ける形で警告的意見を述べています。一人は、鈴木裕子さんが市川房枝を例として女性活躍の名のもとに、戦争協力に率先していったことを指摘し、女性と戦争の問題は加害と被害の二重性があり、加害の歴史に学ぶ意義があると主張。もう一人はパリ第8大学に留学中の森野咲さんは、高村逸枝の研究を通じて、極右と女性というテーマに関心を持つようになったとのこと。高村逸枝は、女性の戦争参加を唱えるプロパガンダを進める文章を書くとともに、能動的な主体をめざして女性解放の名で侵略を正当化していった過程において、抑圧される側の視点がなく、いまの極右の排外的言説に通じるものがあると述べています。

女性=平和志向という概念が簡単に覆されることを、山川菊栄は第1次世界大戦後の英国で参政権運動の立役者だったフェミニストたちが戦争協力に向かったことを通じて批判し、第2次大戦でも同様のことが起きるだろうと警告していました。そして全くそのとおりになりました。戦前戦後と一貫して反戦平和の主張を貫き、言論の自由を得て、ようやく念願の女性の女性による女性のためのメディアを発行していきます。『婦人のこえ』とそれが休刊となったのちの『婦人問題懇話会会報』であり、いずれも女性たちによる自由な論議と主張が誌上で繰り広げられました。

山川は、1970年に高度経済成長への懐疑とともに戦争をする国への方向転換を厳しく指摘し、「これらに一票投ずることは自分で自分の首をしめることと知らねばならぬ」と述べています(「何のための高度成長か」『婦人問題懇話会会報』12号、1970年5月)。その言葉は、いよいよ切実さを増してきた感があり大きな危機感を覚えます。

下記リンクを参考にしてお読みいただくことができます。

<参考文献・サイト>



次回の菊栄カフェ(読書会)は10月11日(日)に開催します。

9月の読書会は、台風25号の接近にもかかわらず、熱心にお集りいただき、Zoomによる参加も含めて9人が顔を合わせました。前回に続き初めて参加の方が加わりました。

山川菊栄が亡くなった約2年後の1982年9月に刊行された『山川菊栄集』別巻(『覚書 幕末の水戸藩』所収)の月報・巻頭には鹿野政直氏による「女性史による山川菊栄」が掲載されています。この最終段落をとり、増補された「無産女性を軸として―山川菊栄」『歴史のなかの個性たち』(有斐閣選書、1989年3月)を読み終え、意見交換によって多くを学びあいました。

次回は、山川菊栄記念会編『山川菊栄が描いた歴史』(生誕125周年記念シンポジウム記録集、2016年1月)所収の加納実紀代氏による「戦時下農村から近代日本を透視するー『わが住む村』を中心に」を読んでいきます。

次回は、10月11日(日)14:00~ 藤沢柄沢橋・BOOKY
会場代金をお支払いしていないため、おひとり一品以上のオーダーをお願いします。

初めての参加を歓迎します。ご一報くださいますようお願いいたします。

高柳聡子さんとふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会による新刊『ソ連以後を闘う女性たち 政治という暴力がもたらすもの』

『未来からきたフェミニスト』(花束書房)で、コロンタイと山川菊栄について考察を書かれた高柳聡子さんが編著にかかわった『ソ連以降を闘う女性たち 政治という暴力がもたらすもの』(A5、172ページ、1870円・税込)が発行されました。
https://kaiin.hanmoto.com/bd/isbn/9784902784084

東京に事務所を置くインターセクショナル・フェミニズム運動のNGO・ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会 が編集にかかわり、旧ソ連から独立し鉄のカーテンが開かれたあとの、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、カフカ―ス、ウクライナといった国々の女性をめぐる現状に関する貴重な報告が満載されています。

次回読書会(第23回)は9月20日(日)に開催します。

8月の読書会もBookyさんのテーブルを囲んで充実した時間となりました。『わが住む村』の鹿野政直氏の解説、まさに解説を超えた名文と、それを引き立ててくださった春水さんの美声の朗読に、一同酔いしれてしまいました。

この岩波文庫は1983年、『山川菊栄集』が別巻「覚書 幕末の水戸藩」収録で完結した
あとに、刊行されています。『山川菊栄集』各巻には月報がついていますが、第10巻(配本は1巻目の次の第2回で、巻の番号順に出版されたわけではない。)月報にある永井道雄氏の文章にも『わが住む村』への言及があり、解説ではそのことにも触れています。
最後の別巻の月報にも鹿野氏が巻頭に書かれています。この文章が、後日、補訂されて『歴史のなかの個性たち』(1989年、有斐閣)に「女性史における山川菊栄」として再掲されているため、それを次回読むことにしました。

予告している加納美紀代さんの報告「戦時下の農村から近代日本を透視する―『わが住む村』を中心に―」(記録集『山川菊栄が描いた歴史』(山川菊栄記念会、2016年)所収)はその次となります。

次回は、9月20日(日)14:00~ 藤沢・柄沢橋BOOKYさん
*いつものようにおひとりずつオーダーをお願いします。
8月の回で資料はお配りしています。忘れずにお持ちください。

初めての方を歓迎しています。人数の把握のため、y.kikue アットマークshonanfujisawa.comまでご一報くださいませ。

では、皆様にお目にかかるのを楽しみにしています。

第21回読書会レポート:特別授業「山川菊栄とわが住む村」の模擬体験

去る7月1月から3日までの3日間、3年生6クラスにわたって、山川菊栄記念会事務局長の山田(樋浦)敬子が中学校の教壇にたつという、大変得難い機会をいただきました。特別授業として社会科の歴史と郷土を学ぶ時間です。山川菊栄の人となり、残したことばともに、『わが住む村』のトピックからペリー来航、小塚隧道工事、大凧上げを選び、そしてもちろん経営していた「湘南うずら園」についてお話ししました。

7月の読書会では、その授業の模擬体験を読書会メンバーで行いディスカッションする時間をもちました。元高校教師の豊富な経験をふまえながら、地元愛あふれる45分授業に、一同感銘を受けました。また、事前に、この授業の企画者である社会科担当の先生が、時代背景や関連事項をお話ししてくださったこともあって、生徒たちにより深い理解を促したように思います。郷土を通じた人間理解の授業として、今後も続けていっていただければありがたいことですし、山川菊栄記念会の普及活動にも大いにヒントをいただくことができました。

そもそも今回の出張授業企画には、企画された先生が水戸藩弘道館名簿に名を残す血縁者をおもちで、山川菊栄との年賀状の交流もあったとのことが発端となっています。

山川家と『湘南うずら園』があった場所は、現在は記念碑のようなものはなく、
隣接する中学校でも伝えられることがなくなっていたようです。
2年前から、柄沢橋にあるシェア型本屋BOOKYさんにおいて、毎月「わが住む村」の
読書会を開催していること、山川菊栄の本棚を置かせてただいていることも、
今回の特別授業につながりました。

生徒さんたちの心のなかにうまれた記念碑が、混迷の世の中を生きていく、それぞれの人生を応援していくことになれば幸いです。

竹中恵美子さんの追悼文集が発行されました。

昨年7月1日に逝去され、山川菊栄記念会世話人であった竹中恵美子さんの追悼文集が、このほど、フォーラム労働・社会政策・ジェンダー運営委員会の編集で刊行されました。

「竹中恵美子先生を偲んで~尽きない感謝の想いを込めて」と題して、亡くなる前年に自ら描かれた鮮やかな花の絵が表紙に掲げられています。目次には、学恩を抱く人々をはじめ、女性労働や地域での女性課題に共にとりくんだお仲間の名が、献花のように連なっています。

また、晩年同居して介護にあたってこられた息子さんご夫妻へのインタビュー記録は、竹中さんのお人柄と日常を浮かびあがらせています。親子に通じていた深い愛情の軌跡に大変感銘を受けました。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

第20回菊栄カフェ「読書会‐『わが住む村』を読む」を終えて、次回は7月20日の予定です。

2024年5月から始められた読書会ですが、とうとう『わが住む村』を完読しました。最後まで、一龍斎春水さんの素敵な朗読やおしゃべりを通じて、村岡や鎌倉の歴史、戦時中の社会状況など話題を広げ知識を共有しながら、ゆっくりまったり進んで第20回。

この日には、晩年まだ元気だったころの山川菊栄自身に村岡の家で会ったことがあるという初参加の地元の女性の方が現れ、一同驚愕と感動とともに20回を心からお祝いすることができました。

まだ岩波文庫版の解説や関連文献で『わが住む村』(岩波文庫)を年内は続けていきます。

次回は、7月20日月曜日祝日 14時から BOOKYさんでいつものように開催となります。
プログラムの都合上、貸し切りに近い形になるので、各自の注文は多めにご協力いただきたく思います。初めての参加の方は記念会までご一報くださいますようお願いいたします。山川菊栄記念会 y.kikueアットマークshonanfujisawa.com


鈴木裕子さんの新刊『フェミニズムと戦争協力』が発売されました。

東京ドーム・後楽園遊園地のある一帯は、江戸時代は水戸藩上屋敷があり、明治維新後は東京砲兵工廠という陸軍の一大軍事工場でした。戦後は水戸藩の庭園跡が後楽園となり、それ以外は遊園地・野球場と大きく姿を変え、平和な時代の恩恵をだれもが謳歌できる娯楽の場所となりました。

その最寄り駅、JR水道橋駅近くの梨の木舎は、1983年から「教科書にのらなかった歴史シリーズ」を発行し、東アジアを侵略していった日本の戦争行為とその責任について問いかけを続けてきた出版社です。第1冊目は、アジアの女たちの会が編んだ『教科書にのらなかった戦争』(1983年刊)でした。同じシリーズのPART76として、鈴木裕子さん(山川菊栄記念会世話人)が著わした『フェミニズムと戦争協力——見えなかった過去から学び、未来をつくるために』が、6月18日から刊行となりましたのでお知らせします。(296頁、定価 2,700円+税)

戦中戦後も平和主義を貫きながら評論活動をつづけたのが山川菊栄でしたが、一方で、戦時翼賛体制に次々と組していった女性団体と多くの女性リーダーたちがいました。その足跡を追った内容となっています。

女性たちが体制にやすやすと追随していった戦前から100年近くを経て、ようやく誕生した憲政史上初の女性首相は、露骨な追米姿勢とともに、改憲と戦争準備を公然と進めてしまっています。もはや平和憲法下に保障されていた基本的人権さえも危うい瀬戸際にきている状況下で、それを阻止する手がかりを、本書が世に問う意義は少なくないといえるでしょう。

同署には、藤目ゆきさんのよる解説:「未来を拓く女性史のために」や、河原千春さんによる鈴木さんへのインタビュー「問題意識はどのようにして生まれたのか」も掲載されていて、著作の背景理解を深めるよう工夫されています。

目次等の詳しい内容については梨の木舎サイトページをご覧ください。

水田珠枝さんのご冥福を祈ります

名古屋経済大学名誉教授の水田珠枝さんが4月18日、94歳で逝去されました。政治思想史、女性解放思想史の研究者で、1981年、山川菊栄記念会設立当時からのメンバーであり、「山川菊栄記念婦人問題研究奨励金」(通称・山川菊栄賞)の選考委員をされていました。また、2010年、生誕120年記念事業として行った連続学習会や記念シンポジウム「いま女性が働くこととフェミニズム」の講演者であり、2011年公開のドキュメンタリー映画「姉妹よ、まずかく疑うことを習え 山川菊栄の思想と行動」では、東海ジェンダー研究所で撮影された山川菊栄の理論を語る水田さんの映像が残っています。

ルネサンスから現代までのたゆまぬ思想の流れを知ることのできる『女性解放思想の歩み』(岩波新書、1973年初版)は2023年に20刷となっており、いまなお、フェミニズムを学びたいと思う人のための基本中の基本書として輝きを放っています。

貴重な蔵書は名古屋大学のジェンダーリサーチライブラリに寄贈され、水田珠枝文庫となっています。

ご冥福を心からお祈り申し上げます。

*シンポジウム「いま女性が働くこととフェミニズム」記録やドキュメンタリー映画についてはこちらのページをご覧ください。