女性労働協会サイトが「行政資料デジタルアーカイブ」を再開

ちょうど一年ほど前、山川菊栄が初代局長を務めた旧労働省の婦人少年局等資料約3000点について、厚生労働省主導により譲渡計画があることがわかり、記念会では、国立公文書館ならびに国立国会図書館への移管を要望しましたが、譲渡は去る11月に実施され、国立女性教育会館を主なる譲渡先として、ほかに国立国会図書館、昭和館などの公的機関や個人へ分散して所蔵されることとなりました。神奈川県立図書館でも所蔵する婦人少年局資料の欠本を補うため譲渡を受けています。

そして、今年の3月には、旧女性の仕事と未来館以来、デジタルファイルで提供されてきた「行政資料デジタルアーカイブ」も突如閉鎖となってしまいました。このことについても、記念会は女性労働協会サイトでの継続公開と、デジタルデータ一式を国立公文書館と国立国会図書館へ、女性労働協会からの法人としての寄贈を要望しつづけました。
このほど6月12日に、サイト上でこの「行政資料デジタルアーカイブ」の再開が告知となりました。https://www.jaaww.or.jp/topics/5744/ <2023年7月4日確認>


記念会が要望してきたことであり、多くの利用者にとって待たれた再開です。

旧労働省婦人少年局資料は、とりわけ戦後に初めて開始された、国による女性の人権状況を改善する政策の資料群と考えます。同じものを、国立女性教育会館や国立国会図書館に図書資料として入れる意味と、国の政策の証拠として国立公文書館法に基づき、同館に入れる意味は全く異なります。
厚生労働省には、一式を移管することを求めてきましたが、これについては残念ながら実現しませんでした。


国立公文書館の「公文書の世界」というデジタル展示では、厚生労働省から献血普及のための「マスコットキャラクター」が広報資料として移管され、中性紙箱に保管されているとあります。
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/koubunshonosekai/contents/42.html
ぬいぐるみの「けんけつちゃん」は移管されても、山川局長時代の旧労働省婦人少年局の行政資料は一切移管されませんでした。

書評が掲載されました

女のしんぶん』(2023年6月25日・第1297号)に『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』の書評が掲載されました。「社会を変えようとした2人の女性」と題し、山川菊栄記念会世話人の中村ひろ子さんが書いてくださいました。

花束書房の伊藤春奈さんが編集した新しい視点に満ちた諸論考は気鋭の若い人々によるもので、中村さんは、山川菊栄がフェミニストではない、という否定説に対して、否定することはできないだろうと強調されています。

関東大震災100年

神奈川県立図書館では、企画展示「関東大震災100年 神奈川県の被害と復興」が開催中です(12月13日まで)。
山川菊栄が被災後、母千世にあてた手紙も山川菊栄文庫関連資料から初披露。去る6月2日には朗読会「明日へ」も開催され、その手紙が読まれたということです。

陸軍の甘粕正彦大尉らによる大杉栄、伊藤野枝、大杉の甥・橘宗一の虐殺のあと、山川一家も狙われている可能性があるとの助言で、振作を連れて兵庫県垂水に逃れていきました。
逮捕ではなく直接有無を言わせずに命を狙う国家的テロ、現代でも世界のどこかで起きている、山川一家も直面したそのことの暴力性を改めて問わねばなりません。

花束書房の新刊『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』

5月末に『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』が花束書房さんから
配本予定(336ページ、税別2300円)とのことです。版元ドットコムへ

花束書房さんからの依頼を受けて、記念会の事務局長山田敬子が
「山川菊栄の思想を明日につなぐ」を執筆しました。
また、山川菊栄文庫の資料整理について、作業にあたってきた
山田を含む三人が座談会に参加しています。

北村兼子と山川菊栄に関する、若い世代の清新な視点がたくさん
盛り込まれ、現代日本の閉塞感を破るパワーを提供する、
とても楽しみな一冊となっています。

どうぞ皆様、ご予約をお願いいたします。

伊藤セツさんの最新刊と情報発信力


2020年に開催した山川菊栄生誕130周年記念シンポジウムでも御登壇いただいた伊藤セツさんが『国際女性デーの世界史―起源、過去、現在、未来―』(御茶の水書房)を刊行されました。帯のめだつところに山川菊栄等の日本で初めての国際女性デ
ー開催に言及していただいています。

伊藤さんは記念会の井上輝子代表が生前企画した、伊藤さんのご著書
『山川菊栄研究―過去を読み未来を拓く』(ドメス出版)の連続勉強会にも快くご参加くださいました。

新刊と同時に、ご自身のブログだけでなく、Webサイト「コスモポリタン」(3月6日付、Maya Thornによるインタビュー記事)からもミモザが添えられたご自身の似顔絵とともに、国際女性デーの経緯や意義を情報発信されています。

シニア女性映画祭10年の記念誌



2023年3月11日と12日に、豊中市で開催された第11回シニア女性映画祭では、山上千恵子監督の山川菊栄ドキュメンタリーが上映されました。また、2012年から2021年までのシニア映画祭10年の開催記録を詳細にまとめた記念誌もシスターウエイブスから発行になりました。
映画祭に込められた関係者のみなさまの熱情あふれる1冊です。入手先は、sister-waves @ qc.fem.jp

シニア映画祭の会場で山川菊栄の写真集や『いま、山川菊栄が新しい!』もたくさん購入いただきました。いずれもこのサイトを通じてご購入いただけます。お気軽にご連絡ください。y.kikue @ shonanfujisawa.com  (メールアドレスはいずれもアットマーク前後をつめて送信してください)

『東京新聞』横浜・神奈川版に神奈川県立図書館展示が紹介されました。

2023年3月5日の『東京新聞』横浜・神奈川版に現在神奈川県立図書館本館1階で行われている図書の企画展示を紹介する記事が「自分らしく生きる・考える」として掲載されました。合わせて山川菊栄文庫資料展示についても書かれています。記事は国際女性デー特集として組まれ、川崎市議会でこれまでで唯一の副議長を務めた菅原敬子さんへのインタビューも載っています。

Web記事はこちらから。

MIMOZA WAYS ミモザウェイズ1910‐2020の舞台公演に山川菊栄のポートレート登場

女優で劇作家、演出家であるトリニダード・ガルシアさんによる、3世代の日本女性の生き方をジェンダー平等の視点から描くコミカルな演劇「ミモザウェイズ」が東京福生市民会館で2月22日23日の熱気あふれる公演を終えました。2月27日、28日に、福岡・クローバープラザ・クローバーホールで上演されます。

昨年の京都公演やオンライン配信版が改訂され、雑誌『青鞜』の執筆者の一人として、山川菊栄のポートレートが大きく投影され、紹介されています。山上千恵子監督のドキュメンタリー映画「山川菊栄の思想と活動-姉妹よ、まずかく疑うことを習え」を見たことがきっかけとなったとのことです。

映画上映も10年の歴史をもつ「とよなかシニア女性映画祭」で3月12日(日)に予定されています。トークでは山上千恵子監督が登壇されます。

神奈川県立図書館本館展示「性と社会の今」が始まっています。

昨年9月にオープンした神奈川県立図書館本館の1階展示「「性と社会の今。人として自分らしく生き抜く」が始まっています(5月10日まで)。

男性、女性、性的マイノリティを取り巻く現代社会的な諸課題をテーマにした書籍のほか、かながわ女性センターから引き継いだ「男女共同参画関連資料」の歴史紹介、そして、「自分らしく生きる礎となった神奈川ゆかりの女性運動の指導者、山川菊栄関連資料」として神奈川県立図書館の「山川文庫」から1947年の労働省婦人少年局長辞令や当時作成された啓発資料などが見られます。

また「共生社会の先駆者 山川菊栄」(神奈川県立図書館制作、3分)のスライドも上映されています。