明けましておめでとうございます。山川菊栄記念会は今年も新たな前進をめざします!

新年早々、日本海側で最大級という大地震が起き、大事故や火災などが続いています。落命された方々のご冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

本年もこの記念会サイトニュースをどうぞよろしくお願いいたします。

思い起こすと昨年の年頭は、神奈川県立図書館での山川菊栄文庫資料の整理を年度末に終わらせるための猛ダッシュに向かっていました。今更ですが、なつかしく思い出されます。

そのなかで、1969年NHKラジオで婦人週間記念番組を収録したレコード盤がひん死状態でみつかり、西川口のNHKアーカイブで、鶴見和子の山川菊栄へのインタビュー番組をデジタル復原していただきました。

神奈川県立図書館蔵書をテーマにして撮影を続ける女性写真家の潮田登久子さんと島尾伸三さんご夫妻が整理作業を訪問され、日記や古書などを撮影されました。島田さんが菊栄愛用のタイプライター(レミントンジュニア)をなんの衒いもなく持ち上げられたときにキャリッジが動いてチーンと、地下の作業室に澄んだ音が鳴り響きました。菊栄が猛然と打っていた時代がよみがえった思いがしました。写真集の刊行が間もなくとうかがっておりとても楽しみです。

国立映画アーカイブでは女性映画人特集があり、労働省婦人少年局企画の労働組合への女性の参画をテーマにして映画「新しい歌声」(丸山誠治監督)」では、同一賃金同一労働の有名なポスターがさりげなく最後のシーンに登場しました。

3月末には、このポスターを含む旧労働省婦人少年局等作成資料をデジタルアーカイブとして公表していたサイトの閉鎖決定に対して、記念会は、女性労働協会サイトに移して継続公開を要望しました。6月に再開が確認できました。

花束書房さんのお計らいで『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』の刊行がありました。記念会の山田事務局長のエッセイ、そして文庫資料の整理について世話人の座談会を収録していただきました。

8月に、山川菊栄文庫資料が神奈川県立図書館収蔵庫改修のため外部倉庫へ移転しました。2016年以降再開までの間、この文庫資料についてのパブリシティ活動を活発化していく必要があります。記念会サイトでは、文庫資料の解読や、最新の研究情報をお伝えすべく、9月末に資料部情報ページを新設し、第1号も発行しました。

10月には名古屋大学ジェンダーリサーチライブラリで山川菊栄をテーマにしたブックトークを開催していただき、山川菊栄文庫と資料について神奈川県立図書館の担当課長さんとともにご紹介する機会を得ました。

神奈川県立図書館では春と秋に、山川菊栄文庫資料の展示があり、関東大震災100年の今年は被災した菊栄から家族への書簡も読み下しとともにわかりやすく公開されました。

11月は、菊栄の3日の誕生日と2日の命日が重なる月、記念会でも過去にシンポジウムなどの周年行事を1日開催してきたところですが、昨年は、3日の鈴木裕子さんの講演会を
はじめとして毎週のように行事が続き、文字通りキクの花咲く菊栄月間となりました。
特筆すべきは次世代の方々のバイタリティあふれる企画が増え、未来からきた菊栄の思想の継承と行動が現れてきたことです。関係者の皆様のご尽力に深謝申し上げるとともに、今年も多様な活動が続いていくことを期待しています。

年末にはNWECの内閣府所管のもとでの機能一部移転が報じられました。内閣府サイトでのワーキング検討会など議論の経過が公開されていますが、独立行政法人としてのNWEC評価で常にSレベルを維持してきたこの施設の最大の特徴である、ライブラリとアーカイブについて言及が弱いことが懸念されます。
記念会の世話人山口順子が問題点をまとめ、「ジェンダー平等ライブラリアーカイブ」として格上げし女性史資料の受け皿とするよう提言しました。

一昨年、旧労働省婦人少年局等作成資料の国立公文書館移管について厚生労働省へ記念会は要望を続けました。国立公文書館を所管する内閣府にも要望しました。残念ながら、現状では国立公文書館には発行番号簿はあっても原資料は所蔵されていません。

「性差の日本史」展を企画された国立歴史民俗博物館名誉教授の横山百合子さんが『We Learn』(日本女性学習財団発行)の12月号と1月号に、NWECほかに厚生労働省から譲渡されたこの資料について書かれており、本来は行政資料として厚生労働省から移管すべきものであったことを明記されました。

記念会では、一昨年からの要望行動のエピローグを準備中です。国内アーカイブのジェンダー平等化へいささかでも貢献できればと考えています。

本年もご理解ご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

*1月6日に一部加筆しました。