山川菊栄文庫資料の紹介や最新の山川菊栄をめぐる研究情報をオープンソースで普及させていく目的で、昨年の9月から1号を公開開始した『資料部情報』ですが、このほど第2号をアップロードしました。
山川菊栄文庫資料の整理の最終局面で山田事務局長が注目した、大きな赤い〇をつけたホチキス止めの資料は、1978年当時の田中寿美子参議院議員ほか9名の女性たちが雇用平等の状況を欧州に視察した報告書でした。
田中寿美子氏は山川菊栄が労働省婦人少年局長であったときの部下であり、婦人問題懇話会をつくる当初からのメンバーでした。視察の帰国後、国際婦人年をきっかけに行動する女たちの会の例会で配布されたのがこの資料です。国際化の途上にあったとき、この海外情報は、雇用平等法をめざす女性たちに日本との落差とともに新鮮に受け止められました。
今日読んでみても、「国連婦人の10年」の中間年を前にして、日本の置かれていた状況そして、なお解消されていない賃金差別、不十分な子育て支援という現況を考えるうえで示唆に富んでいるものと思います。
視察に同行された一人で、日本婦人問題懇話会のマスコミ・日常生活分科会を率いた伊藤恭子さんにこの視察の前後のいきさつや当時の状況をインタビュー形式で伺い、付属資料としました。NHKで朝の連続ドラマの制作に携わった梶谷典子さんや、解説委員となった東浦めいさんの国連女性会議レポートをめぐる知られざるエピソードなど、貴重なお話をお聞かせいただいた伊藤さんに改めて感謝申し上げます。